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私の下手な中国語を見かねたのか、同僚の中国人教師が日中辞典をプレゼントしてくれた。それは中国語の見出しで、日本語の意味と読みをローマ字で書いてあるいわゆる日常会話事典のようなものである。「ふーん、なんだ」と思いつつ、ぺらぺらページをめくると面白いものを見つけた。それは中国版の万葉仮名である。たとえば、「早上好」という中国語の見出しにたいし、日本語で「おはようございます」という記述があり、その下にローマ字が記載されていて(o ha yo go za yi ma si)これはいわゆる拼音というものだ。さらにその下に私の言う中国版万葉仮名の記述がある。ちなみにこの万葉仮名は、「噢哈摇−高杂伊妈丝」というものである。
それで学生たちにこのような表記の方法は実際使っているのかと聞くと、使っているという返事なので、ではこのピンインに「漢字を当てはめてみて」と漢字の部分を隠してやらせてみると、しばらく考えてギブアップ。それではローマ字表記をやめて私の発音だけを聞いて漢字を当てはめてみてと頼んだがやはりギブアップ。 このあと実際の授業で学生たちに、私は鈴木一郎です。というのをやらせてみたが、あまりよく出来なかった。ということはこの学生たちの聞き取りはまるで出来ていないということで改めて練習の必要性を感じた。面白い実験であった。