町並み
夕食でも食べようとぶらりと街に出てそこここと見て歩いているうち、時代劇にも出てくるのではないかと思われる街並みに迷い込んだ。時代劇といえ中国の時代劇であるが、ともかく古い感じがする。決して豪華とは言わないし、優雅とも言えないがなんとも風情がある。
この風景は先ほどまでの古風な商店の賑わいがまるで嘘のように感じられ、そこの家の戸口から杜子春が顔を覗かせるのではないかという錯覚を感じさせる街並みである。
これらの町並みの日が暮れると、壁や塀に電飾が飾られ、汚さが全てやみに沈み少し違った世界が現出する。
欧米の資本主義国の大都会で夕暮れとともにどこからともなく怪しげな人々が湧き出してきて、町の様相が一変するのとはまた違った様相を呈する。
先ほどまでの街並みにも今の日本ではできなくなった、鋳掛屋、かけつぎやだの仕立て屋だのといった古風な商売が軒を連ねていたが、この街角にはそれすらもない。面白い風景である。