マネキンに見る美意識
この街もずいぶん寒くなった。今ではだれもが完全防備という感で街を歩いている。しかし、このマネキンは相変わらず、このままの恰好で三カ月過ごしたようだ。
以前この写真を掲載し、何とも異様な光景だと評したことがある。これは、この中国でもまれな光景かなと思っていた。しかし注意深く観察してみるとこの種のマネキンは決してまれなのではなく、この街ではそこそこ頻繁に見かけるのだ。ということは、これが中国人の美意識なのかなと思ってしまう。確かにチャイナドレスは、あのスリットの間から生足が見えるから魅力的なのであり、あのスリットからスカートなどが見えたら幻滅してしまうのではないかと思うようになった。つまりわざわざ「ドレスの下には何もつけていませんよ」ということを強調しているのではないか。それを強調することによって、上に羽織っているドレスや上着の美しさを強調し、そのことにより女性の素足の美しさを表現しようとしているのではと。
このように下半身丸出しのマネキンは少し行きすぎとしても。
日本人の感覚で日本字の美意識で物事を判断してはいけないのではと反省している。こちらのショウウインドウに飾っているものと日本のものはどこか違う。何が違うかと明確に言えないが違うのだ。こちらの高級洋品店と日本のものとの違いを語るには、まだ年季が足りないのかも知れない。これを読み解くには膨大な文化論が背景にあるのかも知れない。