中国のちまた見聞録

中国を素のまま、生のまま捉える様に心がけました


 「淀みに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて久しく留まることなし」
  今から5、6年前中国を通算2年をかけて旅行した。中国語でいう「旅游」である。

 日本のように圧倒的に単一民族が支配的である国に対して、中国の広大で且つ多くの少数民族を内に包含し、多少の矛盾はありながらも、国としての体勢を2000年間の長きに亘って続けてきたということは、それだけでも畏敬に値する。

 今回の旅は現実の姿に直接触れることにより、中国の良さと遅れた点を垣間見ることができたと同時に、日本との関係において改めて日本を見直すきっかけになったと思う。

 このブログはその時の記録である。これ以上無理解による反目が広がらないことを祈る。

     目指すは「坊ちゃん」と「ドクトルマンボウ航海記」    (李 白扇)
 

 
 

喫茶店

 喫茶店に入った。この辺りでは珍しく?(失礼)小ぎれいな店である。最近開店したばかりである。少なくともこの1カ月の間である。前から喫茶店に入りたいと思っていたが、その機会がなかった。現地の人に喫茶店に行こうかと誘うとあんな所は行きたくない。「何で高い金を出して、お茶を飲むのだ」と言われた。しかし、中国といえばやはりお茶のメッカだろう。一度行ってみないと皆に申し訳がないとばかりに入ってみることにした。
 入った時は、誰もいなくて明るい場所に座ったが、注文を取りに来る前にどやどやと運悪く客が入ってきて、「あんた一人でしょ。席を代わってよ。」と店員に言われ、f:id:China21:20081231172926j:image:right
それならと変わった場所が、店の奥の暗い場所で4人掛けである。入ってきた客も四人なのに、それなら何で代わるのだと思ったが、あとの祭りである。それがこの写真である。
 早速店員が、お茶を運んできた。グラス一杯である。メニューによるとこのお茶は揚州特産で、一杯18元とのことである。既に紹介してきたように、この値段現地の人にしては、ハッキリ言ってべらぼうな値段である。これだけのお金を取るのだったら、何かいいことあるのだろうと期待するのが当たり前。
 何しろガラスコップにお茶の葉っぱが入って、お湯を注いだだけで、お茶の葉がごらんの通り浮き上がってしまい、飲もうとするとお茶の葉が口に入って飲みにくい。
 店員にどうやって飲むのだと聞くと「ただ飲むだけよ」とすげない返事。しかしお茶の葉が口に入ってきて飲みにくいのだけれどというと「葉っぱはそこらにぺっぺと吐き出して頂戴」という。しかしと逡巡していると屑籠を持ってきてこの中に吐き出してという。これは何と無粋なと思ったが、現地の人はこれだけの金を出して飲むからには何かおいしい飲み方があるはずだと思った。そこで、日本人より気が長いはずだから彼らはじっとお茶が出ごろになるまで待つはずと決めてかかって、待つことにした。
 
f:id:China21:20081231173051j:image:left
これがお湯を入れたばかりの状態である。ごらんの通り、葉っぱが上に浮き上がっており、葉っぱはジャンピングしている。これでは飲みにくいと思ったが、飲んでみてなるほど飲みにくい。お茶の味は少し渋い。これじゃ普通のあじで、何も特別なこともないのではといましばらく待つことにした。





f:id:China21:20081231173159j:image:left
これはお湯を注いでから、10分後の写真。半分の葉が沈み、半分は浮いたまま。味見をした。渋い中にも、甘みが口に残るようで、これはなかなかいいものだと思い始めるが、それでも何と言うか、いわゆる商品価値が発見できない。これじゃ「普通のお茶じゃないか」と。





f:id:China21:20081231173242j:image:left
これはお湯を注いでから30分後。特別な変化はない。味を見るが、先ほどと同じで、少しの甘みは感じるが、なんて言うことはない。こんなものではないだろう。なにかあるはずだとなおも待つことに。途中店員が覗きに来たが、「まだ待っているのだ」というと、あきれ顔でそれでもお湯をついで、一杯にして帰った。



 
f:id:China21:20081231173337j:image:left
これは実験開始から50分後である。葉っぱは下にほとんど沈んで、これなら確かに飲みやすい。というわけで、全部飲むことに。しかし薄くなってしまい飲めたものではない。結局30分経過のあたりが飲みごろということは分かった。しかし、これは一体何なのだ。これで、高いお金をとる神経がよく分からない。日本でこの値段であれば許せるが、しかしこの地で一体商品価値は何かがついに分からずじまい。 
 ということで結局中国人がついに理解できぬままこの店を去ることにした。



 店を出てから2分も歩かないうちに、サングラスを忘れてきたことに気が付き、急いで店に戻り、忘れてなかったかと尋ねると店員は「いやありませんよ」これまたすげない返事。
そんなはずはないのだがと納得いかぬまま店を出た。サングラスは日本で買った物で、偏光グラスなので、こちらでは売っていない。おしいことをしたと思いつつ、やはりなれないことをするとどこかで「ポカッ」と抜け落ちることがあるものだと心の戒めとしておくこととする。 今日の晩飯は抜き!!