中国のちまた見聞録

中国を素のまま、生のまま捉える様に心がけました


 「淀みに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて久しく留まることなし」
  今から5、6年前中国を通算2年をかけて旅行した。中国語でいう「旅游」である。

 日本のように圧倒的に単一民族が支配的である国に対して、中国の広大で且つ多くの少数民族を内に包含し、多少の矛盾はありながらも、国としての体勢を2000年間の長きに亘って続けてきたということは、それだけでも畏敬に値する。

 今回の旅は現実の姿に直接触れることにより、中国の良さと遅れた点を垣間見ることができたと同時に、日本との関係において改めて日本を見直すきっかけになったと思う。

 このブログはその時の記録である。これ以上無理解による反目が広がらないことを祈る。

     目指すは「坊ちゃん」と「ドクトルマンボウ航海記」    (李 白扇)
 

 
 

人だかり

この店の前を通ると人だかりがいつも出来ている。よくはやっている店だ。こうなると好奇心の血が騒ぐ。早速覗いてみることにした。菓子屋である。マフィンのような菓子を売っている。中国では糕蛋という名前のケーキで卵ケーキ要するにカステラ、マフィンの類と思えば間違いがない。この地でも最近人気と見え、私の行き来する通りでも、3軒も出来ている。これだけ並ぶからにはさぞ美味しいのであろうとこの前の喫茶店の失敗にも懲りず、この列の中に入ることとした。
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 私は福の神か? 私が入ると必ず人がぞろぞろと入ってくる。たちまち自分の後ろにも数人が並んで待つことに。皆さん、しばらくおとなしく待っていたが、誰かが我慢できなくなって、横から割り込み始めた。すると先ほどまでのおとなしさはどこへやら、たちまち辺りは怒号の渦と化した。(少しオーバーだが)
 要は完全に列は崩れてしまって、口々に店員に「どうなっているのや。割り込んでいるやないか」と叫びながら、自分も割り込んでいく。
 店員はもう収拾がつかないと見るや、「並ばなくてもいいんや。注文を言ってくれ。」それならそれで、早く言えよと思いつつ、「おーい、そのマフィン3個」「何やて、三個かいな。」「3個で悪いんかいや。わしゃ一人もんじゃけん、5個も6個も食われへんのや」てなことを言いつつ、ともかく手に入れて列から抜け出した。
 おれもこの連中のなかで一人前に買い物ができるようになったんやと満足しつつ、「あとはホテルに帰って、どんだけうまいもんか楽しみやな」と思いつつホテルに帰った。
 さてホテルに帰ってこの前買った普段の倍の値段のお茶を入れて早速食ってみた。まずいというわけではないが、あの店の看板にあるような「宮廷云々」というほどでもなかろうというのが第一印象だ。確かにマフィンの味はしているが、しっとりしたところがない。ぱさぱ("ぱさぱさ"までいかない)のスポンジケーキで、何も並んで食べるほどでもないではないか。これなら自分がよく行くスーパーのマフィンの方がずっとうまいぞと少しがっかりした。