中国のちまた見聞録

中国を素のまま、生のまま捉える様に心がけました


 「淀みに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて久しく留まることなし」
  今から5、6年前中国を通算2年をかけて旅行した。中国語でいう「旅游」である。

 日本のように圧倒的に単一民族が支配的である国に対して、中国の広大で且つ多くの少数民族を内に包含し、多少の矛盾はありながらも、国としての体勢を2000年間の長きに亘って続けてきたということは、それだけでも畏敬に値する。

 今回の旅は現実の姿に直接触れることにより、中国の良さと遅れた点を垣間見ることができたと同時に、日本との関係において改めて日本を見直すきっかけになったと思う。

 このブログはその時の記録である。これ以上無理解による反目が広がらないことを祈る。

     目指すは「坊ちゃん」と「ドクトルマンボウ航海記」    (李 白扇)
 

 
 

手洟

 以前手洟について書いたことがあるが、この広州の地では、揚州と比べると手洟をかむ人間が少ないように感じる。この地では、街並みをきれいにする運動が進められており、街の至る所にエチケットを訴える看板が立てられ、地方政府は街の美化に必死である。そう云った関係もあるかも知れないが、ここは揚州と比べると確かに清潔であり、街ゆく人々も少し小ぎれいになっているような気がする。
 それでも手洟をかむ人間が全くいないわけではなく、そこここで見かけるのは確かである。
 先日も、夕方街の並木道を散歩していると、前を男女が二人寄り添って歩いている。まだ明るいが、しかし少し黄昏のいい雰囲気である。男は右手で女の肩を抱き、左手は女の手を握っている。女は女で、少し男に寄り添い二人だけの世界をかたち作っている。
 こちらのアベックは日本よりも情が細かいのか、手を握り合って、ぴったと寄り添っている。
 さて、件のアベックであるが、男がツト左手を放したと思うと、鼻に持って行って「ピッ」と一発手洟をかんだ。その左手をどうするのかなと思ったら、上着の裾で手を拭い、何食わぬ顔で女の手を握り直した。女は知ってか知らずか、うっとりと男の肩に頭を預け、左手で男の手を握りながら、そのまま男の腰を強く抱いて引き付けた。実に麗しい光景である。男の行為がなかったら。たぶん女は全く気付いていないのだろう。この場合変に知らない方がいいのである。なんてことはないが街の一風景である。