中国のちまた見聞録

中国を素のまま、生のまま捉える様に心がけました


 「淀みに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて久しく留まることなし」
  今から5、6年前中国を通算2年をかけて旅行した。中国語でいう「旅游」である。

 日本のように圧倒的に単一民族が支配的である国に対して、中国の広大で且つ多くの少数民族を内に包含し、多少の矛盾はありながらも、国としての体勢を2000年間の長きに亘って続けてきたということは、それだけでも畏敬に値する。

 今回の旅は現実の姿に直接触れることにより、中国の良さと遅れた点を垣間見ることができたと同時に、日本との関係において改めて日本を見直すきっかけになったと思う。

 このブログはその時の記録である。これ以上無理解による反目が広がらないことを祈る。

     目指すは「坊ちゃん」と「ドクトルマンボウ航海記」    (李 白扇)
 

 
 

明けましておめでとうございます

今年は寅年ということで巷には虎の図柄があふれ、元気のない世相に活力を与えるものと大いに期待されている。年賀状でも虎、虎と大変である。阪神ファンは今年は己が年と大いにハッスルしている。中国では虎は、動物の中では別格的な扱いを受けている。諺にも虎は良く出てくるが、どれも、いい加減な扱いをされたものはない。だからというわけでもないだろうが、ごく最近中国で絶滅種であるベンガル虎を食べた人が死刑判決を受け、刑を執行されたということだ。

 中国の辞書を引いてみると、この「寅」から「虎」という語彙は一向に出てこないが、これは現代ではこの寅という漢字は生まれ年をいうときだけにしか使われないのかもしれない。

そこでこの言葉の語源を遡ってみることにした。
左に甲骨文字から金文から小篆(篆書)を経て楷書へと形が整えられていった「寅」を示す。


日中辞典を引くと「寅」は十二支の第3番目で時刻方位などに当てると書かれている。さらに「漢字源」の「解字」の記述欄をみると、
「会意。原字は《矢+両手》で矢をまっすぐのばすの意を表す。寅はそれにウカンムリを添えたもので、家の中で体を伸ばして、いずまいを正すこと。」としている。

 しかし甲骨文字と金文に見える上部の図形は家を表す「ウカンムリ」の図形とはまったく異なっており、これでもって家を表すとは少々難点がある。

中国の唐汉氏の説によると、寅という文字は甲骨文字と金文でそれぞれ二つの表現様式があり、
その第一のものは上部に突き出た矢のような記号は「子供が生まれるとき、臍の緒のつながる方向を示し、真ん中の四角の図形は母親の産門のうちと外を示すもので、下部の「文」のように見えるものは母親の産門を表しているとしている。
また第二の文字についていうと、一番上部の三角は胎盤を表し、真ん中の部分の両脇にあるのは手である。それは注して慎重に胎盤を引きおろしている状態を表現している。したがってこの字の原義は「导引(導引:導き引っ張る)」であると主張する。
 金文にも二つの形式があり、一つは胎盤の形状がまさにそのまま出ており、もう一つは甲骨文をそのまま受け継いでいる。
 このようにして十二支は子供の出産の過程を最初から文字に表現したものと主張する。

 私にはこの主張が「漢字源」のものより根拠あるように思うのだが・・。